「南京大虐殺」と聞いて、どれだけの人々が具体的に事件のイメージを 語ることができるでしょうか。日本では、南京大虐殺という事実は、 公の場であまり語られることはなく、学校教育でもほとんど取り上げら れず、どこか、事件に触れることがタブーであるかのような空気が作ら れているようでもあります。
事件をめぐっては、戦後になっても何度かの裁判が提起されてきまし た。その中には、事件の証言をする人々に対する「偽者」呼ばわりが きっかけになったものも多くありました。
中国人の被害者である夏淑琴さん、李秀英さん。事件そのものの証言を 報じた本多勝一さん。
事実は必ず勝つ、という言葉のとおり、これらの裁判では真実が勝利し、 事件はなかったとする人々の主張はすべて、疑似科学や単なる読み物レベ ルの俗論に過ぎない、ということが白日の下に晒されてきました。
しかし、事件はなかったとする勢力が沈黙することはなく、 それどころか、事件について公の場で触れることそのものにまで、攻撃の手 を伸ばしてきました。
事件を描いた「南京1937」は、その上映が右翼によって暴力的に妨害され、 上映する劇場のスクリーンは、右翼によって切り裂かれました。 日本の大手映画会社によって、日露戦争や太平洋戦争の映画が次々と作ら れる中にあっても、日本軍による中国大陸での残虐行為を描いた映画はほん のわずかしかなく、南京大虐殺を描く映画は皆無、という状態です。
この間、諸外国では南京大虐殺をテーマにした映画が数多く制作され、 公開されているのに、事件の当事者である日本の国内では、南京を描く映画 は作られていないのです。
映画【靖国】の上映に至るまでの経緯を振り返るとき、このような状況は 「暴力と、それを恐れるが故の自粛」によってもたらされる、言論の自由の 危機だとはっきりいえます。これは、断じて容認することはできません。
そこで私たちは、映画配給会社がやらないのなら私たちがやってしまおう と決意し、南京大虐殺をテーマとする映画を集めて映画祭を開催することに しました。映画祭の概要は、次のとおりです。
○日時 2009年12月13日(日) 10:00開場
○場所 東京都世田谷区区民会館ホール
※交通案内
【東急世田谷線】 松陰神社前駅より 徒歩5分
【バス】・世田谷区民会館 0分(渋谷駅・田園調布駅・五反田駅〜世田谷区
民会館)
・世田谷区役所入口 5分(渋谷駅〜上町・祖師ヶ谷大蔵駅・成城学
園前駅南口・調布駅南口)
・世田谷駅前 7分(等々力操車所〜祖師ヶ谷折返所)
○料金 各作品ごとに999円。1作品ごとに入れ替えを行います。
○プログラム・上映作品
10:30-【南京】
ビル・グッテンタグ監督 2007年/アメリカ/88分
南京市に残留した欧米人の視点で描く南京事件。
手紙・日記を基にした朗読劇を中心に、
当時の映像や生存者・体験者の
インタビューを織り交ぜて構成される。
13:00-【アイリス・チャン】
ビル・スパヒック監督、アン・ピック 2007年/アメリカ/103分
アメリカで大きな話題を呼んだ
『Rape of Nanking』の著者アイリス・チャンが、
同書を執筆、そして死に至る過程を
ドキュメンタリー仕立てで描写。
15:00-【シンポジウム】
1937年に起きた「南京大虐殺」と、事件を取り巻くさまざまな状況、
それが現代日本に落としている深くて暗い影と、それと戦う人々
について、学びと認識を深める場として企画しました。
映画祭チケットご購入のすべての方が入場いただけます。
16:30-【南京・引き裂かれた記憶】
武田倫和監督 2009年/日本/85分
南京事件を追いかけてきた松岡環さんの約10年に
渡る取材より、中国人被害者6名、元日本軍兵士7名の
インタビュー映像。交わることなかった被害者と
加害者の「引き裂かれた記憶」を重ね合わせる
ことにより、南京大虐殺の実態に迫る。
18:30-【チルドレン・オブ・ホァンシー 遥かなる希望の道 】
ロジャー・スポティスウッド監督 2008年/豪・中・独/125分
南京事件を潜り抜けたイギリス人ジャーナリスト
ジョージ・ホッグは、日本軍の侵略から逃れるため、
黄石の中国人孤児60人を連れて濾州へ向かう。
日中戦争の秘話を映画化した感動作。日本初公開。