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史実を守るメールニュース第18号

▼防衛省に抗議!
▼自衛隊内の誤った歴史教育を即刻中止するよう要請する
▼夏淑琴さん裁判進行中
▼「便衣兵」は「戦争犯罪以上の大罪」か?

史実を守るメールニュース第18号
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       ●○●○  史実を守るメールニュース  ●○●○
        南 京 へ の 道 ・ 史 実 を 守 る 会
               第 18 号
                   2008年12月11日発行
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【 内 容 】史実を守る会会報第11号より
▼防衛省に抗議!
▼自衛隊内の誤った歴史教育を即刻中止するよう要請する
▼夏淑琴さん裁判進行中
▼「便衣兵」は「戦争犯罪以上の大罪」か?


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■ 防衛省に抗議! ■

 田母神俊雄・元航空幕僚長が日本の過去の侵略や植民地支配を正当化した懸賞論文を発
表したのはみなさんもご存じのことと思います。さらには全国の自衛官にこの懸賞論文へ
の応募を呼びかけていたというのだから驚きます。つい先日まで日本の自衛官のトップだ
った人物の行動とは思えません。史実を守る会では、早速、防衛省に対し抗議文を送り、
自衛隊内の誤った歴史教育を即刻中止するよう要請しました。


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■ 自衛隊内の誤った歴史教育を即刻中止するよう要請する ■

 史実を守る会では、田母神元航空幕僚長の論文発表問題について、防衛省へ抗議文を送
ることを決めました。以下、その内容です。

<抗議文>
 田母神俊雄・元航空幕僚長の極右的な歴史認識を示した「論文」問題に端を発し、自衛
隊において、歴史的事実に背いた歴史認識にもとづく幹部教育が組織的に行なわれている
ことが明らかになった。
 日本の戦後は、諸外国へ侵略戦争を行なった事実を反省し、こうした惨禍を二度と行な
わないことを誓うことから始まった。自衛隊もまた、旧日本軍が内外で果たした役割を反
省し、そこから断絶する努力を積み重ねることで、国民の理解を得ようとしてきたはずで
ある。
 田母神・元航空幕僚長は、国会における参考人質疑においても、主権者国民の代表であ
る国会議員の質問に対して挑発的な言動を弄し、シビリアンコントロールの下に置かれて
いるはずの実力部隊のトップとしての適性が根本的に欠けていることが明らかになった。
 そもそも、自衛隊内における同氏の言動により、田母神氏がきわめて好戦的で誤った歴
史認識を持っていることは明らかであったはずである。にもかかわらず防衛省が何の対応
もしなかったことは、組織全体として過去の戦争への謙虚な反省が失われていることを示
している。
 今回、自衛隊内部で、「新しい歴史教科書をつくる会」の役員らを講師として、過去の
侵略の事実を否定し、美化する異常な内容の幹部教育が行なわれていることが明らかにな
った。過去、日本軍はアジア諸国を侵略し、数え切れないほどの人々に多大な犠牲を与え
たことは、誰も否定できない歴史的事実である。そのことを反省するのではなく、むしろ
美化す
る内容の幹部教育を行なっていたことに抗議するとともに、即刻、このような教育を中止
するよう求める。
 この問題は一歩誤れば、民主主義と平和を根底から覆し、再び過ちを繰り返すような重
大な結果を招きかねない。関係者の猛省を求める。
以上


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■ 夏淑琴さん裁判進行中 ■

 夏淑琴さん名誉毀損訴訟は、控訴審でも敗訴した東中野修道と展転社の側が最高裁に上
告および上告受理申立を行っています。
 これで舞台は最高裁に移ったことになりますので、上告審の手続構造について少し解説
します。
 上告とは、控訴審の終局判決に対する法律審たる第三審への上訴申立行為のことです。
法律審であるため、上告審は原判決をもっぱら法令違反の点のみから審査し、事実や証拠
は事実審で提出されたもののみに基づくことになります。(これに対して控訴審は、事実
認定と法適用の両面にわたって原判決を審査するものとなっていて、現行民事訴訟法にお
いては続審主義が採られていることから第一審の裁判資料に加えて控訴審においても新た
な資料を収集した上で控訴の適否と第一審判決に対する不服申立ての当否を判断します。

 そして上告理由は一般的上告理由と絶対的上告理由(法に列挙されている重大な手続違
反の場合)とがありますが、最高裁判所に対する最高裁上告では、一般的上告理由が憲法
違反(原判決の判断内容および判決手続に憲法解釈の違反が認められること)に限定され
ます。その他の法令違反(原判決に判例違反その他の法令の解釈に関する重要な事項を含
むものと認められる場合)については上告の提起とは別の手続である上告受理申立手続に
よる上告受理申立権のみが認められ、最高裁が決定で上告審として事件を受理することで
上告があったものとみなすという裁量上告制が採られています。
 夏さんの訴訟では、東中野修道と展転社はそれぞれ別個に上告提起と上告受理申立を行
っています。上告理由では原判決が上告人らの表現の自由および学問の自由を侵害する憲
法違反であることと原判決の理由不備が主張されています。
 この憲法違反との主張は判例・学説に照らして全く通用しませんし、理由不備との主張
も実質的には原判決の事実認定を攻撃するためのものであることが明らかですので、上告
人らの主張はいずれも失当でしょう。
 上告受理申立理由では原判決に判例違反が存在することと名誉毀損の成立要件等に関す
る法令解釈上の重要な事項を含むとの主張がなされています。
 けれども、原判決の判断は最高裁判例の枠組みに従ったものであるため、この上告受理
申立理由もやはり失当でしょう。
 そして上告審の審理は必ずしも口頭弁論を開く必要はなく、書面審理により上告に理由
がないと判断されれば上告棄却の判決がなされます。最高裁上告の場合は、上告理由が「
明らかに」ない場合は決定の方式で上告棄却になります。
 上告受理申立理由については、申立てが不適法であるか事件が法令解釈上の重要な事項
を含むと認められないときは不受理の決定がなされます。
 夏さんの訴訟でも上告審では口頭弁論を開かないままでの上告棄却および上告申立不受
理の決定が遠からずなされるものと思われます。夏さんが既に高齢であることから一日も
早くこれらの決定がなされることが求められます。(事務局E)


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■ 「便衣兵」は「戦争犯罪以上の大罪」か? ■

 南京大虐殺をめぐる論争で大きな問題となるのが、「便衣兵」殺害をめぐる国際法解釈
である。本来、「便衣兵」とはゲリラ活動を行う兵士を意味する。南京陥落の際、中国軍
将兵は逃げ場を失い「便衣(平服)」に着替え、逃走もしくは市内潜伏した。その為、陥
落後、日本軍は南京市内に多数の「便衣兵」が潜んでいるとしてその摘発を行ったが、こ
の摘発は非常に杜撰だった。この時、多くの市民が「便衣兵」と疑われて摘発され、裁判
を行われずに殺害された。この「便衣兵」容疑者の殺害について、国際法上、合法だった
のか、違法だったのかが議論となっている。
 東中野修道(亜細亜大学教授)は、日本軍による「便衣兵」容疑者の殺害を合法である
と主張しているが、当会報第一〇号では、その便衣兵処刑合法論のうち、アメリカ元国務
長官ラムズフェルドの発言に依拠した見解(便衣兵は「不戦闘員」であり、裁判を受ける
権利がなかった)について検証・批判を行った。今回は、「便衣兵」が「戦争犯罪以上の
大罪」であるという主張について、検証・批判を行ってみたい。

【東中野の主張】
 東中野の主張によると、当時の戦時国際法学者である立作太郎が挙げた最も顕著な5種
類の「戦時重罪」の中に、「便衣兵(軍服を脱いで服(便衣)をまとって市民になりしま
した正規兵)は挙げられてないとして、「ということは、これは戦争犯罪にあたらない。
では、この三条件違反は何にあたるかと言えば、それは戦争犯罪以上の大罪として、敵に
捕らわれたとき捕虜にもなりえない、ということは助命もされない、つまり「如何なる権
利も有しない不法戦闘員」にあたるのである」(50~51頁)という。
 つまり、「便衣兵」は、「戦争犯罪以上の大罪」であり、「如何なる権利も有しない不
法戦闘員」なので裁判を受ける権利もなく、裁判を経ずに便衣兵を殺害することは違法で
はない、と主張するのである。
 ここで気をつける必要があるのは、東中野の定義では、「便衣兵」と「便衣隊」は別の
存在であるということである。この定義による「便衣兵」と「便衣隊」の違いの特徴は、
もともとの身分が「便衣兵」は正規兵であり、「便衣隊」は一般市民としている点であろ
う。つまり、「便衣兵」は正規兵が市民に変装し機を狙って戦闘行為を行うものであり、
「便衣隊」は市民が私服のまま機を狙って戦闘行為を行うものだというのである(※1)

【「便衣兵」は背信行為】
 では、東中野の主張どおり、「便衣兵」は、立が挙げている顕著な5種類の戦時重罪に
該当しないのか?
 もともと、「便衣兵」という行為は、戦闘行為者であることを隠すため、「便衣」とい
う中国市民の服装に着替え、市民に変装することを言う。素直に考えるならば、これは戦
時国際法上の「背信行為」に該当するだろう。
 ハーグ陸戦規則第二三条「禁止行為」では、「B 敵国又は敵軍に属する者を背信の行
為を以て殺傷すること」として、背信行為による殺傷を禁止している。したがって、正規
軍が「便衣」となり「殺傷」したことを認められた場合、違法行為として処罰されること
になる。
 このような考え方は、一九七〇年に採択された「ジュネーブ諸条約追加議定書第一議定
書」でも確認できる。同議定書第三七条「背信行為の禁止」では、「背信行為により敵を
殺傷し又は捕らえることは、禁止する」とした上で、「背信行為の例」として「(c)文
民又は非戦闘員の地位を装うこと」が明記されているのである。

【背信行為と戦時重罪】
 ところで、ハーグ陸戦規則第二三条や第一議定書第三七条で注目すべきなのは、これら
の条文では、「背信行為」自体を禁止しているのではなく、「背信行為による殺傷」を禁
止しているという点だろう。このことは、たとえ中国兵が軍服から私服に着替え、市民に
変装したとしても、その行為自体は違法行為とはならないことを意味している。※2
この点を裏付ける判例として、オットー・スコルツェーニ事件が挙げられる。
〈以下、引用〉
Otto Skorzeny事件では、敵の制服や国旗の使用は国際法違反ではなく、ただ戦闘開始前
に自国の制服を着用し国旗を掲げなければならない、とされた。この事件で、アメリカ占
領地域軍事裁判所は、ドイツ軍構成員であった被告はフランスのアルデンヌ(Ardennes)
攻撃の際アメリカの制服を着用していたという起訴につき、彼がその制服を着用して武器
をとったいう証明がなされなかったため、彼に無罪を言い渡した(Trials of Otto sk
orzenyand other, Law Reports, Vol.9[1949], pp.90-94)。藤田久一『新版 国際
人道法〔増補〕』(有信堂、二〇〇〇年)一二五頁
〈引用終了〉
 ドイツ軍に所属していたスコルツェーニが、バルジ作戦(一九四四年一二月~)の際、
アメリカ軍の軍服を着ていたという背信行為によって起訴されたものであり、その際に「
武器をとったいう証明がなされなかった」ため、裁判所は無罪と判断した。単に「背信行
為」を行ったことが違法となるのではなく、「背信行為による殺傷」が違法となる判例と
言えるだろう。

【基礎文献における記述】
 もともと、「便衣兵」という行為は「ゲリラ」と同じ意味の言葉である。国際法を調べ
る上で最も基本的な文献である国際法辞典では次のように書かれている。
「伝統的な戦時国際法は、戦闘員資格をもつ正規軍による敵対行為だけを適法とし、文民
等その資格を欠くものはものとより、正規軍であっても不正規軍の適法な構成員資格を満
たさない者の敵対行為は交戦法規に照らして違法としてきた。」(『国際法辞典』(有斐
閣、一九九八年)八一頁)
「現在の国際法では、ゲリラは、組織的抵抗運動団体の構成員と同一の条件をみたさない
かぎり、捕えられたとき戦時犯罪として処罰を免れえない。」(『国際法辞典』(鹿島出
版会、一九七五年)一六四頁)
 この記述を見る限りでも、「便衣兵」の行為が戦時重罪であることは明白だろう。
 以上のように国際法の文献を正確にあたるならば、「便衣兵」は戦争犯罪ではなく「戦
争犯罪以上の大罪」である、などという根拠不明な主張は成立する余地はないのである。
(事務局K―K)
※1 この「便衣兵」「便衣隊」の区別は、戦時国際法上あり得ない定義であるが、本稿
ではそのまま踏襲する。
※2 正規兵が便衣(私服)に着替えることは違法行為にはならないが、スパイとして処
罰される可能性はある。


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最終更新日 ( 2008/12/20 土曜日 22:47:50 PST )
 
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