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史実を守るメールニュース第12号

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       ●○●○  史実を守るメールニュース  ●○●○
      南 京 へ の 道 ・ 史 実 を 守 る 会
               第 12 号
          2007年12月29日発行
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【 内 容 】史実を守る会会報より

▼夏淑琴さん名誉毀損裁判・第一審判決
▼史実を守る会 活動報告
▼裁判傍聴記
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■夏淑琴さん名誉毀損裁判 11.2 第一審判決 内容と解説■
弁護士 井堀哲

 

  2007年11月2日(金)午後4時半。東京地方裁判所709法廷。
 三代川裁判長が、判決主文を読み上げました。判決は、夏さんに対する名誉毀損の事実
 を認め、被告東中野氏と展転社に350万円の支払(東中野氏に対しては、台湾版と英語
 版を出版して被害を大きくした点で50万円を付加)を認めました。もっとも謝罪広告は
 認められませんでした。
 本件判決には、5つの意義があります。
 第1に、主文で認容された金額です。
 350万円+50万円で、合計400万円。この金額は、一般の名誉毀損に比較しても
 高額であり、また李秀英さん(夏さんと同様、南京事件の被害者。夏さんと同様、展転社
 の出版物でニセモノ扱いされたことを理由に損害賠償訴訟を提起した。)の裁判の認容金
 額(150万円)を大きく上回ります。
 第2に、判決理由において、名誉(=社会が与える評価)侵害のみならず、名誉感情(
 =本人が自分自身に対して持つ主観的な価値意識)の侵害が認められたことです。
 第1、第2の点に関して言えば、その理由は、「原告が生き残った『八歳の少女』では
 ないのに『八歳の少女』として虚偽の証言をしている」という本件記述の悪質性が考慮さ
 れたと同時に、後に述べるように、裁判所が、夏さんが南京事件の代表的な被害者として
 、広く知られていることを十分に理解したからだと思われます。
 第3に、夏さんを南京事件の生存被害者として広く知られ人物であると認めた点です。
 これが、第1(賠償金額の高さ)、第2(名誉のみならず、名誉感情の侵害も認められた
 )で指摘した点に直結すると考えられます。
 第4に、被告東中野の研究者としての姿勢を糾弾している点です。
 判決理由骨子を紹介しましょう。「通常の研究者であれば上記の不合理性や矛盾(「b
 ayonetted」の解釈や、「シア夫婦の子でもマア夫妻の子でもない」と結論づけ
 る推論)を認識し、再検討して他の解釈の可能性に思い至るはずであるが、被告東中野は
 これらに一切言及しておらず、被告東中野の原資料の解釈はおよそ妥当なものとはいえな
 い」。言い換えれば、被告東中野は、通常の研究者のレベルに達していないか、(仮に通
 常の研究者のレベルに達しているとすれば)悪意をもってねじ曲がった原資料の解釈を行
 ったかのいずれかであると断罪しているといえましょう。東中野氏はいずれを選択するの
 か。求釈明してみたいところです。
 第5に、本判決によって、史実を守る闘いに勝利したことです。
 本件書籍の出版は、悪意をもった原資料の曲解によって、南京事件とその被害者の人生
 をもろとも亡きものとして葬り去ろうとする試みでした。仮に、本件で敗訴するようなこ
 とがあれば、被告らは自らの悪意に満ちた奇妙な解釈に自信を持ち、これを繰り返して歴
 史を改ざんする動きが加速されたことでしょう。
 しかし、本件判決によって、逆に彼らの目論見自体が葬り去られたといえるのです。
 毅然とした裁判官の判決、特に判決理由中の判断に対しては、我々弁護団も夏淑琴さん
 も満足しています。しかし、敢えて控訴を提起しました。
 その理由は、第1に、必ずや東中野氏らが控訴することが予想されたからです(かくして
 、予想通り彼らは控訴してきた)。その際に、受け身的に訴訟に望むのでは面白くないで
 はありませんか。
 第2に、謝罪広告が認められなかったことです。夏さんの受けた心の傷と、史実を守ろ
 うという動きに対する悪質かつ執拗な嫌がらせ。これらは、金銭で埋め合わせのできるも
 のではありません。やはり、真摯に誤りを認めさせ謝罪させて欲しい。第3に、東中野氏
 らが、これらの名誉毀損行為を、うっかり(過失)やってしまったのではなく、わざと(
 故意)やったのだということを認めさせる必要があるからです。
 折しも、南京事件から70周年。控訴審に向け、より一層の熱い支援をお願いします

■史実を守る会活動報告夏淑琴さんとともに■

 当会は昨年の2月22日、百人斬り裁判控訴審が一回で結審した日に結成されました。
 5月の判決も勝訴(12月に最高裁で確定)しましたが、夏淑琴さん名誉毀損訴訟が始ま
 り、百人斬り裁判の支援メンバーだけでなくネットでこの裁判を知った有志も集まり、支
 援活動を開始しました。
   そして昨年6月の第一回口頭弁論以降、裁判所前でチラシ配布やマイクでの宣伝を行い
 、支援を呼びかけました。閉廷後には弁護士会館で報告集会を行い、弁護団による裁判の
 状況の説明と、当会の活動についての報告を行いました。昨年8月には亜細亜大学での東
 中野氏の公開講座に参加し、厳しい質問を浴びせました。また笠原十九司先生をお招きし
 て読書会を開催し、メンバー間でも会議を重ね、南京大虐殺の実態と夏さんの受けた事件
 について、東中野氏のトリックについて理解を深めました。当会が擁するネット上の錚々
 たる論客陣は、裁判所に提出する準備書面の作成に協力しました。
   毎度のように西村修平氏を中心にした右翼グループもやってきましたが、彼らが仕掛け
 る挑発に乗せられることはありませんでした。そんな我々に拍子抜けしたのかもしれませ
 んが6月の第6回口頭弁論からは何故か彼らは完全に姿を消し、判決日も裁判所前で数名
 が気勢を上げる程度でした。
「南京大虐殺など無かった!」と怒鳴る彼らが、警察官や私服の公安刑事に取り囲まれて
 いる光景は、東中野氏にとって非常に迷惑だったでしょう。そもそも組織的に東中野氏を
 支援する、という動きは全くありませんでした。「保守」の中でも東中野氏に対する評価
 は決して高くないことが窺えます。
   自分の論理が完全に否定された判決を受けながら、それでも控訴した東中野氏にはあき
 れていますが、決して楽観してはならないと思います。引き続き熱いご支援をお願い致し
 ます。
                                                                                                                                    (事務局 高橋)

■裁判傍聴記■

 傍聴券を得ることができたので、エレベーターで7階に上がり、709号法廷に行くと
 、裁判所の職員が多数いて、非常にものものしい雰囲気です。
    開廷は午後4時30分のはずが、2分くらい前の4時28分ごろ三代川裁判長と陪席の
 2人の裁判官が入廷。三代川さん、今までと違い、かなり緊張した表情。
   まず初めに裁判所の許可によるテレビ撮影が2分間行なわれました。たった2分間なの
 にすごく長く感じられました。この間、法廷内は氷が張ったみたいに、ピーンと張り詰め
 た緊張した雰囲気です。
   さて、テレビ撮影が終わり、いよいよ主文の朗読か。最初に三代川裁判長は何と言うか
 。「反訴被告ら」と言えば勝訴、「反訴原告」と言えば敗訴。勝訴だと確信しているが、
 それでも緊張する。万一ってことだってある。敗訴ならすかさず「不当判決!」と野次を
 飛ばそう、勝訴なら「ヨシッ!」だ、などと考えながら、三代川裁判長が何と発するかを
 待つ。
   そうしたら、なんと三代川裁判長は「反訴原告・・・」と言いました。「えっ、そんな
 !?」と一瞬思いましたが、それはこの事件の当事者を確認しただけなのですね。判決言
 渡しではいきなり主文を読み上げることが多いので焦りました。でも、ここで野次を飛ば
 さないで良かった! それに主文の読み上げなら、最初に「主文」と言うはずでしたね。
   そして主文の朗読が始まります。「反訴被告らは反訴原告に対し連帯して・・・」、お
 お、勝ってる、勝ってる。
  「・・・支払済みまで年5分の割合による金員を支払え」と第1項を読み上げたところ
 で私が「ヨシッ!」と叫ぶと、三代川さん、朗読を中断し、厳しく注意する。廷吏の人も
 私に静かにするように注意する。
   三代川さんは「これから判決要旨も告げますが、騒がしいようなら中止します」と述べ
 る。判決に賛意を示すのでも駄目なのか。どうやら法廷内の秩序維持にかなり神経質にな
 っている様子。
   仕方ない。勝訴なのだから、おとなしく聴こう。でも全て言い終わったら、拍手だけは
 しよう、と心に決めて、静かに聴く。
   三代川裁判長は主文に続けて、事案の概要、判決理由の骨子も告げていく。おお、凄い
 、凄い。こちらの気持ちがどんどん高ぶっていく。だが、三代川さんは、ずっと緊張した
 面持ち。その間、陪席の2人の裁判官は無表情で、何を考えているのかは読み取れない。
  言渡しを全て終えてから、私の他、数人が拍手。これにも廷吏が「拍手しないで」と言
 ってきましたが。(もう言渡しは全部終わってるのだから良いだろうに。)
  裁判官らはさっさと退廷。私は他の事務局メンバーらと笑顔でガッツポーズを取り、で
 きるだけの喜びを示しました。
  三代川さん、ああ言っているけど、本当は私たちの拍手を喜んでいるに違いない、と勝
 手に想像しています。
  なお、傍聴に右翼も入っていたのかどうかは気づきませんでした。
  でも、もし入っていたのなら、敗北の瞬間を自分達の目で見ることができたわけで、彼
 らにとって良い学習の場になったことでしょう(笑)。 
                                                                                                                                     (事務局 指環)

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最終更新日 ( 2008/06/17 火曜日 01:55:24 PDT )
 
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