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史実を守るメールニュース第8号

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       ●○●○  史実を守るメールニュース  ●○●○
     南 京 へ の 道 ・ 史 実 を 守 る 会
             第 8 号
         2007年6月23日発行
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【 内 容 】史実を守る会会報より

▼第1回ワシントン国際シンポに参加して 笠原 十九司

▼和解と平和構築のために 南 典男

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■南京事件70周年、連続国際シンポジウムの開始■
   ——第1回ワシントン国際シンポに参加して——
   笠原 十九司
《「国際的非難を知らない」日本の国会議員》
 日本の中学校で現在使用されている歴史教科書は八社の教科書会社から出版されたもの
 であるが、すべてに南京大虐殺事件(南京事件と略称)が記述されている。その中で、六
 社版の教科書に、「諸外国から『日本軍の蛮行』と非難されました(南京大虐殺)。しか
 し、このことは、日本国民には知らされませんでした」【帝国書院版】、「諸外国は、こ
 の南京大虐殺事件を強く非難したが、当時の日本人のほとんどはこの事実さえ知らなかっ
 た」【清水書院版】というように、南京事件は当時世界で報道され、国際的に非難された
 が、日本国民は知らなかったと書いている。
    ところが、南京事件から七〇年を経た今日、自民党の政務調査会の「日本の前途と歴史教
 育を考える議員の会」(会長中山成彬)に「南京問題小委員会」(小委員長戸井田徹)を
 立ち上げ、国内の南京事件否定派を総動員して、南京事件がなかったということを世界に
 発信していくつもりらしい。さらに自民党に民主党も加えた若手国会議員が超党派の「南
 京事件の真相を検証する連続講座」を開催し、南京事件否定派を講師によんで「理論武装
 」していくという。彼らは「南京事件は無かった」と世界に発信しようというのであるか
 ら、中学校歴史教科書に書かれた、戦時中の「国際非難を知らなかった国民」よりも、も
 っと「国際的非難を知らない」といえよう。

《南京事件七〇周年、世界から注目される日本》
  南京事件から七〇周年目にあたる今年は、私が情報を得ているだけでも、アメリカ、ド
 イツ、フランス、カナダ、中国で南京大虐殺をテーマにしたドキュメンタリーあるいはド
 ラマの映画を制作する企画があり、すでに何本かは制作ずみである。こうした世界の動き
 に対して、「『南京大虐殺』反日映画7本は『日本の危機!』(『週刊新潮』二〇〇七年
 二月八日)、「南京『大虐殺』反日映画に反撃を!」(『WiLL』二〇〇七年三月号)
 「反日“包囲網”を打ち破るために」(『正論』二〇〇七年四月号)といった、ふだんか
 ら南京事件の歴史事実を否定しようとする報道をしているメディアが過剰ともいえる反応
 を示しはじめている。
 ところで、世界が注目しているのは、日本では歴史学では定説とされ、日本の歴史教科
 書に書かれ、日本政府の公式見解でも南京大虐殺は事実だと公言している(外務省のホー
 ムページ)にもかかわらず、日本においては南京事件否定派の活動が、政界、財界、マス
 メディア界においてかくも活発なのはなぜか、南京事件の事実を日本国民の共通歴史認識
 として定着させないようにしている政治勢力、社会勢力はなぜ現在も存在するのか、であ
 る。世界が注目しているのは、上記のような日本の国会議員の歴史認識と言動とその思想
 的、政治的背景である。

《「過去の遺産に向き合い、東アジアにおける正義と和解を促進する」ために》
 「国際的非難」をさらに強め、日本をアジアおよび国際社会において孤立させることに
 なる否定派の活動に対して、「(南京事件の)歴史の真実をいっそう深く明らかにし、多
 くの市民の共通認識にすることを通して、和解と平和構築に寄与したいと考え、大規模な
 連続国際シンポジウムを企画」「歴史の真実に向き合う市民レベルの交流を促進し、東ア
 ジアと世界における真の和解と平和に貢献できる21世紀の日本をつくるため」(呼びかけ
 文)、南京事件70周年国際シンポジウム実行委員会(代表尾山宏)が結成され、この一年
 間に世界各地で連続国際シンポジウムを開催していく。その第一回が三月三〇日に、「過
 去の遺産に向き合い、東アジアにおける正義と和解を促進する」というテーマでワシント
 ンのアメリカ平和研究所(USIP:United_States_Institute_of_Peace)で開催され、会
 場いっぱいの五〇余名の出席を得て成功をおさめた。
  日本から尾山宏、荒井信一、吉田俊、西野瑠美子の各氏と私、韓国から金英丸氏が出席
 して以下のような報告をおこなった。


 【第一パネル=償いと和解および歴史教育】
 尾山宏(弁護士・中国人戦争被害者訴訟弁護団長)「東アジアにおける和解の促進と法の
 役割」
 荒井信一(茨城大学名誉教授・日本の戦争責任センター共同代表)「東アジアの歴史和解
 のために」
 笠原十九司(都留文科大学教授)「南京事件の認識をめぐる日中歴史教科書対話への道」


 【第二パネル=教育と和解において博物館が果たす役割】
 吉田俊(ウェスタンミシガン大学助教授)「日本の戦争記念館と平和資料館」
 西野瑠美子(女たちの戦争と平和資料館館長)「『慰安婦』問題を記録するアクティブ・
 ミュージアムの取り組み」
 金 英丸(高知・草の家平和資料館)「東アジア共同ワークショップと高知草の家平和資
 料館の活動」
 各報告者の日本語の報告原稿が、USIPのホームページwww.usip.orgに掲載されている
 のでご覧いただきたい。
  第一セッションの報告に対して、楊大慶氏(ジョージ・ワシントン大学)がコメント行
 ない、第二セッションの報告に対して、スーンウォン・パク氏(ジョージ・メイソン大学
 )がコメントを行い、続いてフロアからの質疑と報告者の応答があり、最後にマイク・望
 月氏(ジョージ・ワシントン大学)が総括発言を行った。報告の英文訳とコメントと総括
 発言もふくめた国際シンポ全体の英文の報告書がいずれ同ホームページに掲載されるとの
 ことである。

《日本に問われているもの》
 コメンテイターと参加者の発言、ならびに総括発言から日本に問われたのは、以下のよ
 うなことであった。
 民主主義社会が過去の問題に取り組むさいに大切なのは、不正義にどう対処するかで
 あるが、日本は過去の不正義の問題に誠実に取り組んできたといえるのだろうか。
 日本社会は「恥の文化」といわれているが、それならば、日本が過去の戦争で犯した
 「恥の歴史」も認識すべきではないか。
 日本における戦争認識は、保守=戦争肯定、侵略戦争否定、革新=侵略戦争批判・反
 省、といったイデオロギー問題になっていて、人道主義の問題としてとらえられていない
 。日本の右翼、リビジョニストの言動は威嚇的、暴力的であり、オープンの議論が難しい
 ところがある。
 現在の日本政府は右傾化し、マスメディアもバランスを欠き、草の根保守主義が強ま
 っているなど、日本社会を内部から変革するのは簡単ではないが、展望はグローバリゼー
 ションにともなって東アジア社会の民主化を進めることである。そのためには日本の「過
 去の負の遺産」と向き合い、正義と和解を促進することが求められる。
    今回、ワシントンの国際シンポに参加して一番強く感じたのは、「9.11」以後のア
 メリカの好戦国家的な政治風潮、右傾化現象が修復されつつあるということだった。今回
 のシンポのように、戦争に反対し、平和と和解について、真剣に討論できる環境になって
 きたということである。それに比べて、右傾化と国際孤立化に歯止めがかからず、修復で
 きないのが日本であるという危惧を強く感じた。

《今後の連続国際シンポジウム》
 南京事件70周年国際シンポは、ワシントンの第一回を皮切りに、第二回はカナダのトロ
 ント大学(六月一一日)、第三回がイタリアのフィレンツェ(九月二四、二五日)、パリ
 (一〇月上旬)、ドイツのハレ大学(一〇月上旬)、南京大学(一一月二三〜二五日)、
 東京(一二月一五、一六日)、フィリピンのマニラ(二〇〇八年二月)、期日未定で韓国
 、マレーシアと連続して行われる予定である。さらに六月と一〇月には東京でプレ・シン
 ポを実施する計画である。
 「南京事件70周年国際シンポジウム」事務局は、東京都新宿区三栄町八—三七
 電話〇三—五八四二−一六六六 ホームページhttp://www18.ocn.ne.jp/~nanjisy
 「南京の史実を守る会」の皆さんの参加と賛同の募金もお願いしたいので、ご協力のほど
 よろしくお願いします。

■和解と平和構築のために■
 南典男(弁護士、同シンポ実行委員)

(守る会注;アメリカでのシンポジウム報告の項を転載します)
    南京事件七〇周年国際シンポジウムのアメリカ企画が、三月三〇日、アメリカ議会が設立
 したワシントンの米国平和研究所(USIP)主催のもとに行わわれた。実行委員会から尾山
 宏(弁護士)、荒井信一(茨城大学名誉教授)、笠原十九司
 (都留文化大学教授)、西野瑠美子(女たちの戦争と平和資料館館長)、金英丸(平和
 資料館草の家事務局長)がパネラーとして報告した。アメリカの研究者ら約五十人が参加
 し、活発な議論が行われた。この企画は「過去の遺産に向き合い、東アジアにおける正義
 と和解を促進する」ことをテーマに、パネル1では「償いと和解および歴史教育」、パネ
 ル2では教育と和解において教育が果たす役割」について、討論された。尾山氏は、一
 連の裁判で日本の加害事実が詳細に認定されていることを、荒井氏は当時の軍による証
 拠隠滅の実態を、笠原氏は日中両国学生の歴史認識のギャップとその原因である右翼の動
 きに言及し、西野氏は「女性国際戦犯法廷」とWAN(女たちの戦争と平和資料館)の活
 動について、金氏は朝鮮人強制連行被害者の遺骨を日韓市民グループが共同で調査した
 ことを報告した。討論のまとめで、マイク望月氏(ジョージワシントン大学教授)は、日
 本と東アジア諸国が歴史問題を解決していくために、「地域の社会レベルで議論できる
 制度的基盤をつくることの支援」を提案した。四月三日、尾山氏・笠原氏はハーバード大
 学でアンドルー・ゴードン教授(同大歴史学部長)のゼミナールに参加した。

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最終更新日 ( 2008/06/17 火曜日 00:49:40 PDT )
 
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