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史実を守るメールニュース第5号-2

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 南 京 へ の 道 ・ 史 実 を 守 る 会

         第 5 号

     2006年10月8日発行

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【 内 容 】

▼ 夏淑琴さん裁判進行中!
  ▼ 定期読書会の報告
  ▼ 「百人斬り」裁判訴訟ー原告側の動向ー
  ▼ 大江健三郎・岩波書店の沖縄戦裁判について
  ▼ NHKスペシャルを見ての感想
  ▼ 『「反日」とは何か』を読んで

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      —— 速 報 ! ——

  9月22日に夏淑琴さん名誉毀損裁判の第2回法廷が行なわれました。ま  た、8月23日には、南京での裁判の判決も出ました。これにあわせて史実を  守る会では、南京へ事務局員を派遣したり、22日の法廷では積極的な宣伝活  動をおこなってきました。また、定期読書会を継続しておこなうなど、歴史  の事実と向き合うための、着実な一歩を踏んでいます。

▼ 南京で勝訴判決 ▼
    夏淑琴さんの松村俊夫氏(及び株式会社展転社)、東中野修道氏(及び株    式会社展転社)に対する中国での2つの名誉毀損裁判は、ともに夏さんの全   面的な勝利で終わりました。 判決内容は夏さんのことを南京大虐殺の被       害者ではないと記載した各出版物の差し止め、回収・廃棄、人民日報、新華   日報、南京日報、産経新聞、読売新聞、朝日新聞の紙上で夏さんに対して謝   罪すること、損害賠償合計160万元(松村氏、東中野氏それぞれ各80万   元)、訴訟費用(裁判費用50元、翻訳費用8000元)の被告側負担で       す。この裁判については、2000年11月27日に中国の弁護団が裁判を   提起し、被告が出頭しないまま、弁論、証拠調べが行われました。この事件   の判決内容は、夏さんの訴えを全面的に受け入れたものでした。この判決は   送達から30日で確定します。
  この裁判の意義は、なんといっても中国の法院で南京大虐殺における夏さ     んの被害を事実として認定したことにあります。裁判所が名誉毀損であるこ   とを認定するには、原告側に被告の言論が原告の名誉を低下させるものであ   ることを立証させれば足ります。被告の言論内容が真実であることは被告が   立証しない限りは問題になりません。しかし、本件において、夏さんの弁護   人が、積極的に証人、文献等の資料を提出したこともあり、中国の法院は、   あえて、夏さんがどのような被害を受けたのかを様々な証拠に基づいて認定   し、松村氏、東中野氏の行為は名誉毀損にあたるとしました。
  この裁判において、ひとり夏さんの権利が守られたということだけではな     く、法律の手段を通じて、南京大虐殺という歴史的事実が確認されたという   ことに中国の世論も、市民も大きな関心を寄せました。日本から行った私た   ちも、判決後は取材陣にもみくちゃにされながらインタビューを受けまし       た。翌日の中国の新聞各紙において、夏さんの写真や記事が一面トップにの   り、記事からは、歴史的な真実というものが明らかにされたこの裁判に対す   る世論の根強い支持が読み取れました。また、中華全国律師協会、法律援助   基金会のこの裁判に対する位置づけの高さからも、今後も、中国で、法律的   手段を通じて過去の日中間の戦争に関する歴史的事実を確認する動きはより   積極的に行われるだろうと、私は裁判の前後に立ち会い、感じました。被告   側からは、中国の裁判所で勝手に行われたこの判決の効力を否定する声明を   出しましたが、この声明は、この中国の流れに対しては、いくばくかの影響   も与えないでしょう。
   中国の弁護士の仕事と奮闘ぶりをみてますます私自身日本の裁判を頑張ら   ねばと思いました。今後ともご支援をお願い致します。
                                                                                                (弁護士 菅野園子)

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▼南京訪問記▼

  日本から上海まで飛行機で3時間。上海から南京へは高速バスで5時間     の旅でした。バスから見える景色は、どっちを見ても地平線です。さすが中   国。そこら中に運河や池や沼が点在しているのは、旧日本軍の戦記通りで       す。高速道路は、ほぼ第16師団の進路に沿って走っているようでした。
    南京に近づくと、急に山がちの地形になってきました。紫金山の南麓をま   わって中山門を通り、南京に到着しました。宿泊したラマダホテルは、鼓楼   病院のすぐ近くの、旧安全区内にありました。ホテルには、6月の東京地裁   でお会いした、弁護士の王先生、呉先生、同じく弁護士の宋先生、記念館の   徐さんが待っていてくださって、歓迎してくださいました。
    翌朝、8時半にロビーに集合して、裁判所に行きました。夏さんの裁判       は、中国では日本の我々には想像できないほど注目されているようで、裁判   所の前はものすごい数の記者で埋まっていました。ご一緒した日本の弁護士   のお二人も、駐車場から出てきた夏さんも、すぐに新聞記者に囲まれてしま   い、ご挨拶をする暇もないほどでした。
   法廷は、傍聴席から向かって左が、夏さんの座る原告席で、右側が展転社   や東中野の座る「はずの」被告席です。裁判長と被告席の間には、「通訳       者」という札の着いた席があり、徐さんが座っています。日本人である東中   野らが出廷した場合に備えてのことだと思いますが、残念ながら被告席は最   後まで空席のままでした。
   中国の裁判の判決は、日本と異なり「事実認定」「裁判所の判断と法律の   適用」そして日本でいう「主文」の言い渡しが行われます。もちろん全て中   国語ですので、言い渡しの最中は内容はよくわからなかったのですが、松村   俊夫、東中野両者とも(もちろん展転社も)、夏さんに対して名誉毀損を       行ったことが認定され、損害賠償の命令が出されたのでした。

   その後、南京の弁護士会館に移動して、記者会見が行われました。夏さん   に対して、大勢の記者からさまざまな質問が出されましたが、「なぜ今、裁   判で戦うことにしたのか」という質問に対して、夏さんが「私1人のためで   なく、南京でなくなった大勢の犠牲者のために戦わなければならなかった」   とお答えになったのがとても印象的でしたし、何より大変勇気づけられたの   でした。
   会見後、やっと夏さんにご挨拶ができました。相変わらずとてもお元気そ   うなのが何よりでした。笑顔がとても素敵でした。(事務局 U)

▼▼ 夏淑琴さん 名誉毀損裁判第2回 ▼▼ 
    
 −−−−被告を圧倒−−−−
   9月22日午後1時10分東京地方裁判所第709号法廷で夏淑琴さんの名誉毀  損裁判第2回口頭弁論が行われました。

史実を守る会では、裁判所前での情宣活動、裁判の傍聴、そして報告集会を  行いました。

■裁判の経過■
     被告側には株式会社展転社の社長らしき人物が出席していました。
 まず、被告が準備書面の陳述をしました。陳述書の内容は、東中野が参照       した資料と名誉毀損の不存在、仮に名誉毀損に該当するとしても、事実で       あると信じるについて相当な理由があるというものです。とはいえ、その       内容は全く具体性のないもので、相当な理由については、「本件書籍に既       述したとおりである。すなわち、フィルム解説文をそのまま論理的に分析      して」このような判断をしたのだ、と述べるだけに留まりました。
     次に、原告が書証関係の証拠を提出しました。書証の内容は、被告が参      照したという資料の原典・翻訳等です。さらに、台湾で「徹底検証」が翻訳   されて発行されていることが発見されたので、これも提出しました。英語版   も提出する予定です。さらに、原告側は日本語版中国語版の出版部数、流通   先等について釈明を求める予定です。
    双方の主張を踏まえて、裁判所は被告に対して、記録上あらわれている8   歳少女が原告ではないと東中野が考えたことについて相当な理由を具体的に  主張をすることを促しました。被告は相当性について主張することになりま    した。今後は、東中野が8歳の少女を夏さんではないと考えたことについて    相当な理由があるかどうかが争われることになると思います。
      本来、法廷はここで終了し、あとは、書記官室等で今後のスケジュールを  決める予定でしたが、原告側弁護団が多人数であったこともあり、法廷で決  めました。
      被告は10月13日までに相当性について主張する。原告は反論の書面を11月  13日まで主張する。さらに、被告に再反論があれば、次回期日の1週間くら  い前に提出する。以上の進行予定に決まりました。
   次回期日は2007年12月8日です。
                                                                                                 (弁護士 山森良一)

■情宣活動■
  私たち、守る会が集合したときには、すでに嫌がらせ目的の右翼も集まっ     ていたので驚きました。威力業務妨害罪で有罪判決を受けたこともある西村   修平がハンドマイクを片手に大音響で聞くに堪えない罵倒を続けていたのは  前回(6月30日第1回口頭弁論)と同じですが、今回の彼らの嫌がらせ・挑  発は執拗で激しく、かつ連中は非常に感情的になっていました。西村氏らが  警察官に制止される場面も度々ありました。
  もっとも西村氏が自己陶酔しながら語る内容は「日本軍は難民に食糧を与  えていた」「ラーベも日本軍に感謝状を送っていた」「南京で日本兵が強姦  したという話はウソだ。なぜなら混血児が生まれたという記録はない」など  という、ありふれた否定論ばかりでした。
  残念ながら彼は、日本軍は難民のために備蓄されていた食糧すら強奪した  ことも、ラーベは日本軍に宛てた書簡の冒頭で安全区が砲撃されなかったこ  とに謝辞を述べつつ難民保護のための要求を突きつけていたことも、日本兵  が行った強姦については日本軍の内部文書でも数多くに見出せることも、日  本兵に強姦されて妊娠した女性たちが中絶の為に病院を訪れていたことも知  らないようです。
  さらに、そのうえ彼は「あなたたち100人と私一人で討論してもよい。  この西村修平は決して逃げない!」と宣言しておりました。ただし「あなた  たちも堂々と素性を明かすのなら」という条件付きで。なんのことはない、  こちらの個人情報が目当ての釣りというわけです。

■報告集会■
  報告集会は午後2時から約1時間行われ、米倉弁護士と渡辺弁護士による  解説に続いて、先月23日の南京での判決のレポートが行われました。
  判決内容は「虐南京殺の徹底検証」の出版差し止め、回収、破棄、読売や  産経も含めた主要紙への謝罪広告の掲載、賠償を命じるという厳しいもの  で、もしも東中野氏が中国を訪れれば拘束されるのではないかと思います。  しかし日本国内での執行力については「分からない」とのことです。
  続いて、この日の情宣活動の報告に続き、7月15日亜細亜大学での東中野  教授講演会の報告がありました。「史実を守る会」事務局員、指環さんが大  学敷地外からの抗議活動について、熊谷さんが講演会潜入の模様を報告しま  した。
  最後に中国からの留学生の方と、中国の新聞記者の方からの発言がありま  した。日中両国民は歴史の真実を守るために力を合わせるべきだという提言  に深く感謝した次第です。

▼▼ 読書会報告 ▼▼

−−−『「南京虐殺」の徹底検証』の検証−−−−
 
  東中野修道氏はその著作である『「南京虐殺」の徹底検証』(展転社 
 1999年)で、南京大虐殺の被害者である夏淑琴さんをニセ証言者だと主  張しました。その主張の根拠は、自身で翻訳したというマギーフィルム解説  書です。
     しかし、根拠としていた部分に誤訳があり、その主張が不当なものである  ことが判明しています。
  東中野氏は、この事件に関して次の五つの史料も検証しています。それ  は、笠原十九司『南京難民区の百日』掲載のマギーの日記、本多勝一『南京  への道』掲載の夏淑琴証言、インターネットに掲載されている「マギーの遺  言」、戦争犠牲者を心に刻む会編『南京大虐殺と原爆』掲載の夏淑琴証言、  東京裁判での許伝音証言です。
  東中野氏は、これらの史料とマギーフィルム解説書との不一致点を指摘し  ますが、一方で一致点についてはまったく検証していません。これらの資料  からは凡そ、生き残り証言を行った人物は、「奥の部屋」で祖父母・姉二  人・妹一人と共に避難していたところを日本兵に見つかり、祖父母は殺害さ  れ、姉二人は強姦された後に殺害され、その時に銃剣三回さされ気を失っ  た、妹は無傷で助かった、という点で一致しています。
  夏淑琴さんがニセ証言者であるという主張の根拠は、マギーフィルム解説  書における祖父母や姉妹と共に被害にあった「七、八歳になる妹」と、生き  残り被害の模様を証言した「その八歳の少女」が同一人物ではないというも  のです。しかし、この部分を上記五つの史料と比較すると、この東中野氏の  翻訳したマギーフィルム解説書のみ一致しません。
  つまり、複数の史料における一致点・不一致点を公平に検証していれば、  東中野氏が誤訳した部分だけが他の史料と一致しないことに気付くはずで  す。その時点で誤訳であることに気付くでしょうし、気付かないとしても、  その部分の信憑性には問題があると判断せざるを得ないのです。このような  基本的な検証をおこなっていれば、”夏淑琴さんはニセ証言者である”という  ような誤った結論が出ることはなかったでしょう。
  9月17日に南京市の裁判所で出された判決に対し、展転社は「歴史事件へ  の純粋な学術研究を政治的に抹殺しようとする意図に疑問を感じる」という  コメントを寄せていますが、以上のような当然なすべき資料検証をしないよ  うな「論文」が、はたして本当に「歴史事件への純粋な学術研究」と言える  のか、非常に疑問が残るところです。
                                                                                                         (事務局 K‐K)

▼▼百人斬り」裁判訴訟▼▼

−−−−原告側その後−−−−

   今年5月の百人斬り訴訟控訴審は、原告側の請求は全て棄却という当然の   結果が出ましたが、原告側は懲りずに7月に最高裁に上告しました。さらに「百人斬り訴訟を支援する会」というホームページを作成し、上告理由書を  掲載しています。彼らの主張は到底通用しないことを二度も思い知らされて  いるにも関わらず、まだ未練を捨てきれないことに恐れ入ります。
  言うまでもなく南京大虐殺が行われていた当時の「東京日日新聞」に掲載  された、戦闘中に敵兵を日本刀で倒したという話は全くの創作です。真相は  捕虜や無関係な市民に対する「試し斬り」でした。
  しかし原告側は上告理由書にて、控訴審判決の「百人斬り競争として新聞  報道されることに違和感を持たない競争をした事実自体を否定することはで  きず」という部分に対し、当時の記事内容は虚偽であるとう判決内容と矛盾  している、という趣旨の批判をしています。記事自体は作り話だったことに  拘り続けているのです。
  しかし戦時中、日本刀を用いて捕虜や市民を斬殺する行為は数知れず行わ  れていました。「日本刀で敵陣に乗り込んで斬り伏せた」という作り話を吹  聴していたことが戦後裁かれることに繋がったのは当事者にとって「不運」  なことかもしれません。しかし、言い換えれば虐殺行為をしていた将校が、  そのような作り話をしていただけなのであり、彼らの罪に変わりはありませ  ん。また原告側の拘りには、個々の事例を否定することで全体を否定しよう  とする策略を感じます。つまり「百人斬り競争」を否定することで、南京大    虐殺全体をも否定しようとしているのではないでしょうか?亜細亜大学の東  中野教授が夏淑琴さんの記録を疑っているのも同じ目的かもしれません。ど  ちらも取るに足りない論考ですが、このような企てを無視することはできま  せん。
  ところで百人斬り訴訟原告側は、中国南京の大虐殺記念館に展示されてい  る野田少尉・向井少尉の写真を撤去させたいそうです。これを国会で決議し  中国に要請してもらおうと思いつき、「十万人」の請願署名を募っていま  す。全く驚くべき計画ですが、これは恐らくは彼らも嫌っているであろう「内政干渉」に他ならないことに気付いていないのでしょうか?靖国神社に  関する論争を振り返ってみて下さい。
  「大東亜戦争は自衛であり、アジアを解放した」などという全くの虚偽を  主張している靖国神社に日本の首相が参拝していることに対し諸外国から抗  議が広がっていますが、いわゆる「保守派」は、その要求は「内政干渉」だ  と反発しています。
   仮に百人斬り訴訟原告側の要求が通り日本政府が中国政府に対し写真を撤  去させるよう要請したとしたら、「百人斬り競争」について私たちが理解し  ていることが仮に全くの虚偽であったとしても、それは彼らが忌み嫌うはず  の内政干渉そのものではないでしょうか?これを自覚して欲しいものです。  もちろんこのような馬鹿げた要求が国会で審議されるわけがありませんが。
  しかし、これからの日本の政治には不安を感じずにいられません。新しい  首相の安倍晋三氏はかつてNHKに圧力をかけて番組を改編させたことがあ  り、百人斬り訴訟の原告側弁護団の一人である稲田朋美氏は自民党の衆議院  議員です。このような政治家たちは日本の近代史を歪めることに執着するで  しょう。全く危機的状況になっているわけです。         (事務局 ノンポリ)

▼▼ 大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判を支援してください ▼▼

 2005年8月5日、梅澤裕(元座間味島の第一戦隊長、元少佐)と赤松  秀一氏(元渡嘉敷島の第三戦隊長であった赤松嘉次元大尉弟)が、岩波書店 と大江健三郎を相手に、名誉毀損と出版差し止めを求める訴訟をおこしまし  た。原告が問題にした書籍は、岩波書店発刊の家永三郎著『太平洋戦争』(68年初版、02年岩波現代文庫収録)、中野好夫・新崎盛暉著『沖縄問題二  十年』(岩波新書、65年初版、74年出庫停止)、大江健三郎著『沖縄ノー  ト』(岩波新書、70年初版)です。請求理由は、上記三点の書籍が、沖縄戦  の初期に慶良間列島で発生した住民の「集団自決」は、守備隊長であった原  告・梅澤及び赤松が命じたとしているが、これは事実に反し、名誉を毀損、  あるいは故人に対する敬愛追慕の情を侵害する、というものです。すでに、  五回の口頭弁論が開かれていますが、原告側の提出した証拠資料は、家永教  科書裁判で論破されたものなど、なんら新しいものはありません。
  この裁判は、きわめて政治的、イデオロギー的なプロパガンダを目的にし  たものといえます。軍命令による「集団自決」はなかったとすることによっ  て、日本軍による住民虐殺の事実を抹殺し、沖縄戦の事実を歪め、日本軍の  残虐性を「捏造されたウソ」にし、「軍隊は住民を守らない」という認識の  転換をねらうものです。そして、歴史の歪曲・改ざんをねらい、「戦争をす  る国」の人材育成をねらいとしていることは明らかです。「日本の名誉を守  る」「自虐的歴史認識から解放」などはその意図のあらわれであり、これ  は、南京事件・百人斬り競争裁判や「新しい歴史教科書をつくる会」教科書  のねらいと同じです。そして、裁判を支援するためと称して、提訴とほぼ同  時に「沖縄集団自決冤罪訴訟を支援する会」が結成を結成し運動していま  す。
  事実はすでに明らかになっています。慶良間列島での「集団自決」は、日  本軍の命令によって発生したものであることは疑う余地がありません。そし  て、家永三郎著『太平洋戦争』は歴史研究書であり、厳密に史料批判をおこ  なったうえで書かれたものです。大江健三郎著『沖縄ノート』には、両名の    名が書かれていないだけでなく、沖縄戦研究をもとに、日本人とは何かを見  つめ、沖縄について考え、戦後民主主義を問い直したものです。 
  歴史の歪曲を許さず、沖縄戦の真実を広く子どもをはじめ国民に知らせて  いくために、「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会」を結成し、大  江氏、岩波書店、弁護団と連携し、沖縄戦の真実を広く内外に知らせるため  に運動を展開しています。相手側は、『沖縄問題二十年』についての訴えを  取り下げました。
  第六回口頭弁論は11月10日午後1時半から大阪地裁大法廷で開かれます。
 ■会費…一口個人一千円、団体三千円
 ■郵便振替 口座番号 00960-4-262721
 ■加入者名「大江・岩波沖縄戦裁判支援連絡会」
 ぜひ多くの方がこの運動に加わっていただくようお願いします。
 小牧 薫(大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会事務局長)

▼▼ NHKスペシャル ▼▼

−日中戦争〜なぜ戦争は拡大したのか〜−
  −日中は歴史にどう向き合えばいいのか−

  8月13日にNHK総合テレビで、NHKスペシャル『日中戦争』、14日に『日中は歴史にどう向き合えばいいのか』が放送されました。
 事務局でも、「これは内容をチェックしなければ!」ということで注目し  ていました。事務局内の評価は「あのNHKにしてはよくやった」「どちら  かといえばまともなほうだ」と、それほど悪くないものでした。以下に、事  務局員の感想を紹介します。
 番組の前半では盧溝橋事件勃発から日中全面戦争への拡大が、現地軍の独  走と軍中央の追認によってなし崩し的に進められたことなどが描かれていま  した。この部分の現地軍と陸軍中央の動きはよく描かれていたと思います。
  ただ、ここでは、南京攻略を行ったのがいかに軍紀頽廃の軍隊だったのか  という点など、その背景も含めて描いて欲しかったと思いました。
  南京では近郊農村における被害について、中国側の研究者による聞き取り  調査もありました。略奪や農民の殺害も行われていたことがわかります。
  そして、南京陥落とその後の敗残兵狩りについて、歩兵第七連隊の戦闘詳  報や兵士の陣中日記が写し出されます。歩兵第七連隊への城内掃蕩の命令。     「青壮年は全て敗残兵、又は便衣兵とみなし逮捕監禁すべし…」。捕虜の扱  いについてのハーグ陸戦規定も写されていました。
  さらに入場式を控えて、歩兵第七連隊への命令は「逮捕監禁」から「捕  捉、殲滅せよ」に変わります。
  極めつけは元兵士のインタビューです。「敵の陣地を攻撃しとってね、陣  地におるのをつっこんでって殺すのと全然意味が違うわね。それも非戦闘員  かもわからんようなものを。だから、虐殺っていうふうにとらえても、これ  はもう・・・・・。」
 また、マギー・フィルムの一部も紹介され、日本軍の蛮行が写し出されま  した。
 ただ、強姦など民間人への残虐行為などに全く触れていないなど、全体と  しては、まだまだ不十分だと思われます。幕府山虐殺も全く触れられていま  せん。
 こういった不満な点も多々ありますが、総理大臣が終戦記念日に堂々と靖  国神社に参拝し、NHKへの政治介入の張本人が首相となってしまう今の世  の中で、よくここまでやったなと思いました。
 この点はNHK内の良識派が健闘したのでしょう。率直に称えたいと思い  ます。
 今回のNHKスペシャルは日中戦争入門という感じのものでしたが、これ  を契機に南京事件の実相や中国戦線の日本軍の実態について、さらに深く追  究した番組がつくられることをNHKには期待したいと思います。NHKに  はそれができるだけの実力があるはずです。(事務局・指環)

▼▼ 図書紹介 ▼▼

 『反日』とはなにか−中国人活動家は語る−
 熊谷伸一郎著 中公新書ラクレ 価格¥777(税込)

 昨年4月頃、中国で反日暴動が荒れ狂い、日本大使館に押し寄せる「暴  徒」の乱暴狼藉が日本のマスコミに盛んに報じられました。それらの日本発  の報道によると、この反日暴動は、中国政府の官製デモで、江沢民時代以来  の反日教育の結果でなのだそうです。
  実際のところはどうなのでしょうか。日本でも著名な「反日」運動家3人  へのインタビューを一冊の本にまとめたのが本書です。これを読むと、日本  のマスコミが報じる「反日暴動」の報道がいかに誤っていたかがよくわかり  ます。たとえば、「官製デモ」といわれますが、実際には中国政府による反  日運動に対する規制・抑圧は非常に激しく、中国のマスコミはこのデモのこ  とをいっさい報じていないといいます。また、4月のデモのあと、反日暴動  の再発をおそれる政府当局によって、反日運動のホームページは度々閉鎖に  追い込まれているのです。
  彼らのインタビュー内容を読むと、むしろ過度と言っていいくらいに日本  に対する態度が抑制的です。彼らのいずれもが、「日本に反対なのではな  い、日本の一部の右翼、軍国主義者に反対なのだ」と言っています。確かに  私もそう思うけれど、しかし同時に、残念ながら今の日本で右翼的、軍国主  義的な考えが急速に拡大しており、それを「一部」とはとても言い切れない  のが現実だし、彼らもそのことは知ったいるはずです。小泉の靖国参拝に賛  成が55%という悲しむべき世論調査結果があります。
  それでも、彼らは日本の一部の右翼、軍国主義者に反対と言うしかないで  しょう。日本人全部に反対などと言ったら、日本の右翼をひっくり返しただ  けで同じ存在になってしまいますから。
  ボールは、我々に投げ返されているのです。「日本に反対なのではない、  日本の一部の右翼、軍国主義者に反対なのだ」ということばに、甘えていて  いいのか。
 「右翼・軍国主義者」を日本人の一部にしてしまう、それは我々の責務と  いえるでしょう。(事務局 inti_sol)

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★★「南京への道・史実を守る会」のこれから★★

 私たちの史実を守る戦いは、これまで多くの勝利を勝ち取ってきました。  南京大虐殺の幸存者(生存者)である李秀英さんの名誉を守る裁判は、最高  裁で勝利判決を得ることができました。【百人斬り事件】の存在を世に知ら  しめた本多勝一さんの「百人斬り裁判」も、地裁に続いて高裁でも勝利判決  を得ています。李秀英さんと同じ幸存者の1人、夏淑琴さんの名誉を守る裁  判でも、被告の東中野側は、終始逃げの姿勢をとらざるを得なくなっている  のは、すでにお知らせしているとおりです。7月の、夏淑琴さんを招いての  証言集会では、多くの方々にお集まりいただき、貴重な証言を聴く機会を持  つことができました。
   地裁前でビラを受け取ってくだった方々、支援の立場で裁判の傍聴に来て  くださった方々、我々の運動に理解を示してくださり、カンパをしてくだ  さった方々、さまざまな経験を通して我々を支えてくださった方々。これま  での勝利は、そうした無数の「支援の声」によって支えられてきました。   しかし、事態は決して楽観を許しません。かつて、NHKに圧力をかけ、女  性国際戦犯法廷を扱った番組を改ざんさせたとされる、歴史修正主義者指向  の持ち主が、先日の国会で総理大臣に指名されました。夏淑琴さんの名誉毀  損を争う東京地裁前では、暴力的な右翼が、南京大虐殺の被害者に対して、  聞くに堪えない暴言をまき散らしています。

  日本のあちこちで、いまも「歴史の事実を歪め、日本にとって都合のいい  歴史をでっち上げようとする動き」が続いています。私たち「史実を守る  会」では、こうした動きに対して決して沈黙してはならない、断固として  戦っていかなければならないと考えています。

【守っていくこと】
 歴史を自分たちに都合よく修正し、「美しい国日本」を捏造しようとする  動きの1つ1つに、速やかに介入していきます。
 たとえば、県知事が従軍慰安婦の存在を否定する発言を行って問題になっ  た、埼玉県の県平和資料館は、常設展示の歴史年表から「南京大虐殺」の文  字と当時撮影されたとされる写真を隠してしまいました。資料館側は「南京  大虐殺は歴史的評価が分かれるので、暫定的に除外した。」などとしていま  すが、そもそも大虐殺があったこと自体は、歴史学会でも明白な事実として  認識されています。その「歴史的評価」などは分かれていません。
  また、外務省は、各国に設置している在外公館に対して、資料の名目で、  あろうことか東中野氏が夏淑琴さんを「被害者本人ではない」と呼んだ『南  京大虐殺の徹底検証』を配布していたことが分かりました。名誉毀損で係争  中の書籍を、資料と称して日本の外交の窓口である在外公館に配布するなど  ということは、歴史を歪めるのみならず、名誉毀損の幇助にもなりかねませ  ん。
  私たちは、こうした「歴史を歪める行為」に対して、断固として抗議して  いきます。

【伝えていくこと】
 今年も、あと2ヶ月ほどで南京大虐殺が始まった12月13日がめぐって    きます。来年は、南京大虐殺から70周年を迎える節目の年になります。私  たちは、南京大虐殺について被害者や加害者双方から学び、史実に対する認  識を深め、そこで得たものを伝え広げていく活動も行っていきます。
  歴史を正しく認識することは、そこで亡くなった多くの被害者に対して、  今を生きる我々が負わなければならない責任です。
 また、戦いに駆り出され、加害の記憶に今なお苦しめられている元日本兵  が大勢いることも忘れてはいけません。その体験を史実のままに受け止め、  その痛みを分かち合うこともまた、必要なことだと考えます。
  みなさん、どうか歴史修正の動きに対して沈黙しないでください。私たちと  ともに、戦いましょう。

最終更新日 ( 2008/06/14 土曜日 02:40:18 PDT )
 
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